結果が分かるので、ネタバレが嫌な人は先に動画を見てね。
Youtubeで「獣道弐」と検索すれば多分あると思います。
私はドキドキしっぱなしで、最終的に泣いてました。なんでやねん。
今話題になっているeスポーツですが、このイベントはスポーツっていう雰囲気じゃない。
↑先にここを読むと分かりやすいです(イベントの前情報、予想)
「獣道弐」は日本で一番有名なプロゲーマーのウメハラさんが企画した格闘ゲームのイベント。
ワンマッチが3回行われるシンプルなルール。
対戦するゲームと対戦者は、ウメハラさんが見たい、面白いと思う組合せ。
獣道弐の対戦カードは以下の通り。
第1試合:スーパーストリートファイター2X
こたか商店。 vs イトー
第2試合:鉄拳7
たぬかな vs ゆうゆう
第3試合:ストリートファイター5 ArcadeEdition
ウメハラ vs ときど
第1試合:スーパーストリートファイター2X
前回のイベント「獣道」で兄ケンを圧倒した、こたか商店。のガイル。
対するは中部地方のミスタースト2、イトーのディージェイ。
これだけ聞いてもなんのこっちゃですよね。
格ゲー好きな私もスパ2X事情はよく知りません。
1つだけ言えるのは、いい勝負だったってこと。
24年も前のゲームに対するやり込みを感じました。
壁際に追いやられてピンチなのに、よくあそこまで冷静に対処できるなと感心。
飛び道具と牽制のダメージ差が、少しずつ積み重なったのかなー。
最後まで的確だった、こたか商店。が10-6で勝ちました。
第2試合:鉄拳7
かわいい女子プロゲーマー「たぬかな」、メガネな人妻「ゆうゆう」のシャオユウ同キャラ勝負。
たぬかなが攻めて、ゆうゆうが切り返すという展開になっていた。
実況のハメコ。さんは鉄拳は3ポイント差がつくと逆転は厳しいとコメント。
たぬかなが先行したが、2ポイント差でギリギリ食いつくゆうゆう。
さらに中盤で追いついて、ポイントがイーブンに。
10ポイント先取で、なんと9対9のフルセットまでもつれ込む。
最終的にフルラウンド勝負になり、最後の最後までどっちが勝つかわからない展開に。
本当にギッリギリの勝負を制したのは、ゆうゆう。ポイントは10-9。
ゆうゆうは途中、笑顔でバナナを2~3本食べていた。
この人妻は変人だと思った。可愛かったけど。
忙しいスケジュールの中、負けた時のリスクもあるのに出場したプロゲーマーのたぬかなも凄い。
そして可愛い。
(ゆうゆうはこの後しばらくしてプロゲーマーになりました。)
まぁ可愛いうんぬんよりも2人の攻めと対応がえげつなかったけど…
第3試合:ストリートファイター5 ArcadeEdition
格闘ゲームの頂点ウメハラと、現在の世界最強ときど。
試合前の二人のコメントが印象的だった。
ウメハラ「強いです」
ときど「相手が強いのは分かってるんですけど、今回は俺の方が強いって自信があります」
ウメハラは自信があるときは本当に強い。
逆にあまり自信がない時は、大会なんかでもサクっと負ける。
東大卒のときどは強さを求める姿勢が並ではない。
頭脳面だけでなく精神面、肉体面も鍛え、多くの大会で結果を出してきた。
そんな二人の試合で凄かったのはウメハラのガイルの使い方。
ガイルは普通、技を出すために後ろに下がる。
もしくはしゃがんで相手を待つ。
しかしウメハラのガイルは違った。
何もせずにその場で立っている。
下がらずに絶妙の間合いで相手を見ている。
格闘ゲームでキャラクターが立ったまま停止状態になるなんて滅多にない。
ウメハラのガイルは不動でときどの豪鬼を見ていた。
空間を制していた?いや空間がガイルだった。
よく分かんないけどそんな感じ。
ソニックの緩急がえげつなかった。
甘えた波動に対するサマーが恐ろしかった。
EVO優勝、カプコンカップ準優勝のときどでさえ、ウメハラを崩すことはできなかった。
試合結果は10-5でウメハラが勝利。
獣道弐で心に残ったこと
正直なところ、見ててウメハラが怖かった。
一人の相手、一つの戦いに全力を尽くすと、ウメハラはあそこまで研ぎ澄まされるもんなんやね…
解説のふ~どのセリフ「結局、ウメハラさんが1強なのかな」を聞いて、なんだか少し悲しくなってしまった。
(トーナメントの強さと10先勝負の強さは違うからね)
試合の後のインタビュー、敗者のときどは泣いていた。
「ゲームの中でくらいは勝ちたかった」
ときどもウメハラと同じように、今日の戦いに全てをかけて臨んだことがわかった。
ときどにとって、格闘ゲーム、そしてウメハラっていう存在がどれだけ大きいんだろう。
ウメハラは冗談で「ゲーム以外全部(ときどが)勝ってると思うんですけど…」と言っていた。
ときどは東大を卒業している。
品行方正だから色んなメディアに出演して、プロゲーマーという謎の職業の好感度を上げている。
最近のプロゲーマーとしての成績、賞金もウメハラを上回っている。
それでも、ずっとウメハラの背中を見てしまっているのかなぁ…
長年やりたいと思ってきた試合が実現して、本気でやって叩きのめされた。
その真剣な取り組み、情熱が涙になったんやろねぇ。
私も気づいたらめっちゃ泣いてました。
思い出しても目が潤むわ…
たかが格闘ゲームなんだけどね。
人と人が真剣に戦うのは熱いね。
幽遊白書で骸も言ってた。
真剣勝負は技量にかかわらずいいものだ
決する瞬間 互いの道程が花火の様に咲いて散る
ドラマやったなぁ。
ときどには、ウメハラとは違う種類の人を惹きつける魅力があると思う。
素晴らしいときどさんが私は見たい。
獣道参もあるみたいなんで、楽しみに待ちます!
これはウメハラさんが書いた本。
Amazonのkindle年間ランキング1位(2位は池上彰さん)になってしまった。
プロゲーマーという職業がちょっと話題になっているとは言え、しがない一人のゲーマーが書いた本がここまで人に影響を与えたのは何故なのか。
正直な話、格闘ゲームのプレイヤー人口はたかが知れているし、ウメハラさんのファンだってそんなに多くない。
年間ランキング1位になった理由は、ウメハラを知らない人が読んだから。
格闘ゲームという、世間から否定される世界で勝ち続けた男が、ずっと感じて、悩んで、考えて、実践してきたことが書かれています。
私にとって、残念な自己啓発本よりもよっぽど刺さりました。
ウメハラさんに負けて涙を流した、ときどさんが書いた本。
ときどさんは東大、さらに東大の大学院まで進学した異色のプロゲーマーです。
以前のときどさんは、ゲームの対戦が盛り上がらない、寒い戦術も勝つためには平気で使うプレイヤーでした。
優れた頭脳をフル活用して、つまらないと言われようが理にかなった行動を徹底していました。
しかしそのスタイルが変わった。
サブタイトルの「論理は結局、情熱にかなわない」が、まさに今のときどさんを表しています。
スポーツでもゲームでも、素晴らしいプレイを見ると興奮します。
でも一番みたいのは、やっぱり人であって、その人のストーリーなんだよなぁ。